インバウンドのサブ効果 高まるアイヌへの関心

2015 / 12 / 6 | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

アイヌ民族博物館
photo by Ernesto Huang

「イランカラプテ!」

アイヌ語で「こんにちは」という意味です。

人権やダイバーシティに対する関心が高まり、
ジェンダーや多国籍・多文化といったキーワードには
光があたるようになった一方で、
「先住民」への注目はどうして低いままなのだろう、と気になっていました。

三菱商事が先住民の権利に関する方針を策定し
資源調達やインフラ案件への投融資時に影響を考慮する、
化粧品会社のAVEDAが材料調達や公平な雇用・取引に関する
パートナーシップを先住民の地域コミュニティと結ぶ、
など海外での事例は色々あります。

国内でも北海道や沖縄に目を向ければ
もっと色々な動きがあっていいはずなのに、
私が知らないだけなのか、と。

先日北海道に行く機会があったので、アイヌをめぐる状況を知りたいと思い
アイヌ文化振興・研究推進機構を訪ねてお話を伺いました。

アイヌ文化に対する関心は、少しずつ高まっているといいます。

自らのルーツに関心を持ち言葉や文化を学び始める若者が増え、
アイヌをテーマにしたマンガも人気です。

札幌大学の「ウレㇱパ・プロジェクト」は、
アイヌの若者への奨学金の給付や、賛同企業と協力しての
優先雇用枠の設定など、アファーマティブ・アクションを展開しています。

2013年からは官民連携によるアイヌ文化の普及啓発を目指す
「イランカラプテ」キャンペーンも推進されています。

企業・個人はサポーターとして参加。
サッポロビールは商品ラベルにロゴを記載し、売上の一部を財団に寄付しています。
JTB北海道はアイヌ文化に触れるツアーを開発し、文化の普及に貢献しています。

観光は先住民と親和性が高い業界です。

北海道では、
「インバウンド(訪日観光客)の増加が、アイヌへの関心を高めている」
といいます。

観光資源としての側面だけでなく、
海外の人を案内するのに自分たちの文化や歴史について知らないと恥ずかしいということで、
生活の根本に根ざすアイヌ文化や歴史について学ぶ機運が高まっているそうです。

※先住民との共生で有名なニュージーランドの航空会社Air NewZealandでは、
マオリの食事を機内食に取り入れるなど乗客に魅力をアピールするほか、
自社のアイデンティティに根付くマオリ文化を従業員が学ぶことで、
国外出身の従業員が企業文化への理解を高める機会となり
全社の一体感醸成につながっているという調査結果もあります。

今回の訪問で、道内では色々な動きが出てきていることがわかりましたが、
CSRの業界に身を置いていながらも、これまでこの種の情報には
ほとんど触れたことがなく、知らなかいことばかりでした(マンガ以外)。

単純に私の勉強不足ということもありますが、北海道と本州という距離の壁もあるでしょう。
オリンピックまでの数年で、全国的に意識が高まり、
取り組みが広がっていくことが期待されます。

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