シェアリングエコノミー その拡大がひきおこす労働問題とは?

2015 / 8 / 17 | 執筆者:Yurie Sato 佐藤百合枝


Photo by Ramit Batra

「シェアリングエコノミー」(共有型経済)という言葉を知っていますか?

「シェア」というとモノの共同利用が浮かびますが
モノだけでなく、提供者が所有するサービスや労働力などを
共有するビジネスのことを指します。

提供されるサービスの例としては
・自分の部屋を使わない間貸す
・マイカーをタクシーのように運転する
・空いた時間に家事代行を行う

などが挙げられます。

近年、利用者と提供者を結びつける「場」の運営をする企業が
欧米を中心に急成長しており
一般の登録ドライバーによる配車サービスを行う
米国のUber社の企業価値は6兆円を超えるそうです。*1

そんな中、PwCは
シェアリング・エコノミーにおける5つの市場(金融、人材、宿泊施設、運輸、音楽やビデオの配信)の規模が
2013年の約1兆8000億円から、2025年までに約40兆円以上へと成長するという予測を発表。

スクリーンショット 2015-08-17 18.10.52
写真はPwC報告から 
URL: http://www.pwc.co.uk/issues/megatrends/collisions/sharingeconomy/the-sharing-economy-sizing-the-revenue-opportunity.jhtml

シェアリングエコノミーは
モノの共有による社会全体の環境負担軽減や
地域でサービスを提供している場合には
コミュニティーを活性化するほか*2
パートタイマーや失業者に収入源や労働機会を与えるなど
さまざまな価値が期待されています。

しかし、このビジネスの仕組みは
「ギグ・エコノミー」(単発で仕事を発注する非正規労働経済)とも呼ばれ
最近労働面での問題が注目されています。

たとえば、サービス提供の場を運営する企業が
運転手などの労働者を「従業員」でなく「独立請負人」として雇うことで
「中間搾取」を行っているという批判が増えており
昨年は、時間外労働や労災、経費などの支払いを求める訴訟が複数の企業*3
を対象に起きています。

7月には、ヒラリークリントンが
「ギグ・エコノミーは労働機会を提供しイノベーションを促進しているが、職場の保障や良い仕事とはいかにあるべきかについて疑問を提起している」
「労働者を不当に自営業者扱いし、賃金を搾取することを厳しく取り締まる」*4
と発言したことが注目されています。

米国では、インターネットの普及や不安定な経済情勢などにより
雇われない働き方をする人が増えており(3人に1人がフリーランサー*5)
多様化する労働者を守る政策づくりが今後さらに必要になっていくようです。

——–
参照
*1: 「マイクロソフトがウーバーに124億円投資-500億ドルの企業価値」
http://www.bloomberg.co.jp/bb/newsarchive/NSE4W46JTSE901.html
*2: 「シェアリングエコノミー」
http://www.shinnihon.or.jp/shinnihon-library/publications/issue/info-sensor/2014-08-02.html
*3: 「Shackling the Sharing Economy」
http://www.wsj.com/articles/shackling-the-sharing-economy-1438552181
*4: 「Hillary Clinton takes aim at Uber during speech on ‘gig economy’」
http://www.cnet.com/news/hillary-clinton-takes-aim-at-uber-during-speech-gig-economy/
*5: 「In economic address, Hillary Clinton calls out ‘gig’ economy」
http://www.cnbc.com/2015/07/13/in-economic-address-hillary-clinton-calls-out-gig-economy.html

このエントリーをはてなブックマークに追加

Sustainability Frontline もっと学びたい方へ

この記事で取り上げたテーマについてより詳しく知りたいという方は下記よりご連絡ください。より詳しい内容理解 / 勉強会でのライトニングトーク / 社内セミナーでの話題提供など、一緒に学びを深める機会を作っていきたいと思います。

お名前
メールアドレス
企業名、団体名
詳しく知りたい内容など

プライバシーポリシーに同意する