世界初のユニリーバ人権報告書 気になる中身とは?

2015 / 8 / 13 | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

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ユニリーバが今年6月に発表した人権報告書。

Enhancing Livelihoods, Advancing Human Rights
https://www.unilever.com/Images/slp-unilever-human-rights-report-2015_tcm244-439397_1.pdf

2011年の「ビジネスと人権に関する指導原則」に続くものとして、今年2月に発表された
国連人権報告フレームワーク(UN Guiding Principles Reporting Framework)」に
世界で初めて準拠しており、今後の人権報告の1つのモデルとなるものです。

ページ数は全68ページ。
人権だけでこれだけのボリュームがあります。

世界190ヵ国で事業を営み、17.2万人を雇用し、
7.6万のサプライヤーを有する同社は、2010年の
持続可能な事業戦略「ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン(USLP)」の
発表以降、人権に関する取り組みを本格化してきました。

・透明性
・ステークホルダーとの協議・対話・恊働
・連帯責任モデル(Collective responsibility model)
・官民パートナーシップとの恊働
・新しいビジネスモデル、キャパシティビルディング、救済措置

を5つの重点領域と定め、国際人権NGOのオックスファムと恊働して
ケース・スタディとして同社のベトナム事業を対象に
アセスメントを実施するなどして、課題の洗い出しに取り組んでいます。

報告書では、人権に関する戦略や各種の方針、
取り組みの歴史やガバナンス等について報告がなされた後、
「顕著な(salient)」な人権課題のパートが続きます。

ガイドラインで要求されているのは、「重要な(material)」課題ではなく、
もっとも深刻な影響を及ぼす「顕著な(salient)」課題についての報告。

ユニリーバの場合は、以下の8つを特定し、
取り組みやサプライヤー監査の結果について開示しています。

・差別
・適正賃金
・強制労働
・結社の自由
・ハラスメント
・労働時間
・土地の権利
・健康・安全

今後、レポートの統合化が進み、
重要な情報を簡潔にまとめた統合報告書が作成されていく一方、
個別のテーマについては別冊で報告していくことが
1つのモデルとして期待されています。

日本企業でもメーカーを中心にすでに作成されている「環境報告書」
証券取引所に提出する「コーポレート・ガバナンス報告書」
多様性に関する「ダイバーシティレポート」や人材に関する「人的資源ファクトブック」
(関連記事:これが私たちの人材力! Allianzの人的資源ファクトブック
社会貢献に関する「フィランソロピー報告書」

透明性に対する要求が高まるなか、報告疲れに陥らないためにも、
情報開示・コミュニケーションの統合・最適化に取り組んでいくことが不可欠です。

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