サプライチェーンの排出量開示促進へ EICCとCDPがタッグ

2015 / 4 / 5 | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

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photo by Flazingo Photos

エレクトロニクス業界のサプライチェーン状況改善に取り組む
EICC(電子業界CSRアライアンス)とCDPが
サプライチェーンプログラムで協働することが
2月末に発表されました。

EICC Becomes First Industry Group to Partner with CDP on Supply Chain Greenhouse Gas Initiative
http://www.eiccoalition.org/news-and-events/news/eicc-cdp-partner-on-supply-chain-ghg-initiative/

EICCは、HPやIBM、ソニーなどによって2004年に立ち上がった団体で、
電子機器業界のサプライチェーンにおける労働安全管理や
紛争鉱物、環境負荷削減に関して行動基準を策定し、
サプライチェーンの状況改善を推進しています。

一方のCDPは、ご存じのとおり、
企業の気候変動の取り組みを評価し(最近では水や森林も)、
投資判断に使う情報として投資家等に提供しているNGOです。

今回、EICCは業界として初めてCDPの
「サプライチェーンプログラム」に参加します。

CDPのサプライチェーンプログラムとは、
サプライチェーンに対する排出量の開示要請を
メンバー企業にかわってCDPがまとめてサポートすることで、
回答率を高め、取り組みを促すもので、
ウォルマートやVodafone、コカ・コーラなど60社以上が参加しています。

背景には、サプライチェーンにおける排出量削減に向けた動き、
より具体的には、2011年に発表されたGHGプロトコルの
「スコープ3」基準の浸透と取組みの加速があります。

サプライチェーンにおける調達先での排出や、
製品の使用時における排出など
バリューチェーン全体を範囲とするのがスコープ3です。

日本では、トヨタやホンダなどの自動車業界が先行して取り組んでおり、
花王や日本郵船などが続いています。

スコープ3に基づく排出量の情報は、
「算出」して「開示」することが目的ではなく、
最終的に算出結果を「活用」し「削減」していくことが重要です。

サプライヤーからの購入量を元にした算出から、
サプライヤーから実データを提供してもらい算出することで
結果を精緻化し、排出量が多いところを特定して削減を働きかけ、
対応に応じてサプライヤー評価に反映していく必要があります。

一方で、サプライヤーとの力関係や他社との価格競争の観点、
またサプライヤー側にとっても個別に対応するコストなど、
1社で取り組む難しさもあります。

そこでCDPがそれらの要請をまとめて、
サプライヤーに働きかけることで取り組みを促進し、
さらに今回はEICCという業界としてそこに参加することで
取組みをさらに後押しする狙いがあります。

他に目をやると、今年1月にはNGO世界資源研究所(WRI)が
スコープ2ガイダンスの改訂版が発表され、
電力購入を通じた排出削減量の算出・報告基準がより明確化されました。
すでにFacebookやGoogle、Marsなどの企業では先行して活用しています。

また、自然資本会計のガイドライン化の大きな動きもあります。

スコープ3にしても、依然発展途上で、
ルールにまだ曖昧な部分が残るなか、
先行して取り組むことには大変な部分もありますが、
しかしいずれ実質的に取り組まざるを得なくなる状況になる前に、
特にグローバルで事業を展開する企業がリスク管理、
さらには機会活用として先行して動きだしています。

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