ユニオンと労働NGO–日中にみる労働運動の変化

2015 / 3 / 7 | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa


photo by DonkeyHotey

マタニティハラスメントや残業代未払いなどで
エステサロン「たかの友梨」を運営する不二ビューティーと
従業員側が争っていた問題で、
子育て中の社員が働きやすい制度
「ママ・パパ安心労働協約」が会社と組合側で結ばれました。

ママ・パパ安心労働協約の締結のお知らせ
-女性が安心して働き続けられる職場環境を労使で協力してつくります-
http://esthe-union.com/archive/mamapapa.pdf

組合側は、協約は育児と仕事の両立のハードルとなりがちな
「3歳の壁」と「小1の壁」を撤廃する内容で、
法令を大幅に上回っているとして評価しています。

今回、従業員側の代表となったのが「エステ・ユニオン」です。
日本で組合といえば、企業ごとに正社員が加入する企業別労働組合でしたが、
労働者の非正規化などに伴い、近年雇用形態を問わず
誰もが個人単位で加盟できる「ユニオン(合同労働組合)」が増えています。

首都圏の労働者が加入する「首都圏青年ユニオン」や
夜の世界で働く人々による「キャバクラユニオン」など、
様々なユニオンが名ばかり店長や過労死、残業代不払いといった
労働者の雇用環境や生活向上の問題に取り組んでいます。

経済の状況や企業と労働者の関係が変化してきたことで、
労働運動に取り組む主体も変わってきています。
そしてその傾向は、中国でも同様です。

先日取り上げたユニクロを展開するファーストリテイリングの
中国サプライヤーの労働環境をめぐる問題で、
会社側が提案した解決策の1つに、
「工場における従業員代表者の民主的な選出と団体交渉権行使の支援」
があります。

中国にも工会と呼ばれる労働組合がありますが、
国公認の団体しか認められておらず、代表者も
多くは民主的な選挙で選ばれているわけではないため、
労働者側ではなく会社や党側に立つ組織となっているというのが実態です。

そうした状況に対し、工会(組合)を越えて、
労働者が運動を起こす事例が増えています。
日本ではたまにしか報道されませんが、近年
中国では毎日のように労働争議やストライキが発生しています。

そのきっかけとなったのが、
2010年にホンダの部品工場の南海ホンダの事件です。
労働者による、非合法なはずの自主的なストライキが発生し、
大幅な賃上げで決着しました。

参考:
IDE-JETRO「中国・出稼ぎ新世代の闘い:富士康連続自殺事件とホンダ工場ストライキをめぐる動向 」

労働者の権利意識が高まり、労働運動が活発化する中、
「労働NGO」と呼ばれる非公式な労働者団体が
集団交渉やストの中心となって、
工会(組合)の再編や労働者の権利確保に取り組んでいます。

そうしたNGOの台頭に対して、政府は国家体制に組込もうと体制内化し、
独立性を弱めながらもNGOが提供するサービスを利用しようと
試みるなどの動きを見せています。
・・・と複雑な中国の状況は一言ではとても言い表せません。

中国のNGOの状況に関心のある方は、以前
日中働き方ワークショップでご一緒したCSネット代表の
李妍焱(リ・ヤンヤン)さんの著書
中国の市民社会――動き出す草の根NGO (岩波新書)」が
とても詳しく参考になります。

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