捕鯨問題でも出てくるAnimal Welfare(動物福祉)って?

2014 / 4 / 18 | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa


photo by Raymond Bryson

IWC(国際捕鯨委員会)による南極海での
調査捕鯨の「科学的目的」の否定や、
鳥インフルエンザなどに関する海外のニュースを見ていると、
しばしばAnimal Welfare(アニマルウェルフェア、動物福祉)という
キーワードが登場します。

日本ではあまりなじみのないこの言葉。
気になったので少し調べてみました。

動物がかわいそう。。。といった動物愛護とは異なる概念で、
混同してしまうと問題の本質が十分に理解できなくなります。

神奈川県動物愛護協会の解説によると、
動物福祉と動物愛護の違いとして、以下の点が挙げられるそうです。

動物福祉(Animal welfare)は、
科学的根拠に基づき、動物が受ける必要以上の苦痛を排除するなど、
「動物の身体的、行動的、精神的な要求の充足度」を満たし、
動物のQOL(生活の質の向上)をはかるもの。

一方の動物愛護は、主観で「かわいそう」と思う事柄に対し、
「かわいそうではない」状態にすること。
日本では飼育放棄された犬猫の保護や殺処分反対の活動が大半を占めます。

社団法人畜産技術協会では、畜種ごとに定めた2011年のガイドラインにおいて
動物福祉ではなくあえて「アニマルウェルフェア」という用語を使い、
「快適性に配慮した家畜の飼養管理」と定義しています。

動物福祉の考え方の基盤となっているのは、1979年に
英国農業動物福祉審議会(Farm Animal Welfare Council)が
定めた「5つの自由(Five Freedoms)」と呼ばれる原則です。

「1.飢えと渇きからの自由」
「2.不快からの自由」
「3.痛み、傷害、病気からの自由」
「4.正常な行動ができる自由」
「5.恐怖や悲しみからの自由」

この5原則を柱に、欧州ではEU指令に基づき、
2012年に従来型のケージ(鳥かご)による採卵養鶏が禁止され、
2013年には母豚のストール(閉じ込め)での飼育も禁止されました。

米国やカナダ、オーストラリアでも
業界団体が独自にガイドラインを設定するなど、
動物福祉の実現に向けた取り組みが進められています。

背景には、BSEや鳥インフルエンザなどの国際的な家畜の病気が、
人への感染症の原因となって人間の健康を脅かすようになってきたことで
施策が進展してきたという指摘もあります。
欧米におけるアニマルウェルフェア─動物福祉畜産の動向–

動物福祉に配慮して、家畜をストレスがない自然な状態で
健康に飼育することで、病気の発生を減らし、
安全な畜産食品を実現することで人間の健康につなげるという考え方です。
(一方で、自然放牧すれば病気を防げるとは限らず、
科学的な分析が必要だとする指摘もあります)

欧米においては大手企業も動物福祉に取り組むようになっており、
たとえばバーガーキングは2012年に、
2017年までに平飼い卵を100%とすることと、
雌豚用小型ケージの使用撤廃に取り組む業者からしか
調達しないことを宣言しました。

Burger King Corp. Makes Industry-Leading Commitment to Enhance Animal Welfare Standards in its U.S. Supply Chain

単に「かわいそうだから反対している」と捉えるのではなく、
大きなトレンドとして考え方から理解しておきたい概念です。

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