【G4を読む】Minority Groupって誰?

2013 / 9 / 10 | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

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photo by Roland Tanglao

先日、GRIに出てくる「minority groupとは具体的に
誰を指すのでしょう?」という質問をいただきました。

マイノリティ(社会的少数派)=人種や民族などを指す、、、
ということは漠然とわかっても、
具体的に誰、となると私も含め、答えに詰まってしまう方も
多いのではないでしょうか。

そこで少し調べてみました。

まずGRIでどのように登場するのかを見てみます。

G4-LA12 労働慣行とディーセントワーク 多様性と機会の平等
Composition of governance bodies and breakdown of employees per employee category according to gender, age group, minority group membership, and other indicators of diversity.

というように、ジェンダー、年齢層と同列で出てきます。

またG3との変更点では、これまで
“minority group membership, and others”とされていたものが
“and other indicators of diversity”に変更されており、
用語集をみると以下のように説明されています。

Indicators of diversity for which the organization gathers data may include citizenship(国籍), ancestry and ethnic origin(出自や種族), creed(宗教), and disability(障がい).

*ancestry and ethnic origin(出自や種族)がわかりにくいのですが、
米国の国勢調査の質問票を見てみると、
○○系アメリカ人というような祖先の出身地を指すようです。

G4において、minority group membershipとは
ジェンダー、年齢層、上記のその他の指標に含まれないものということで、
人種民族を指していると考えられます。

ここには、文化や言語などの社会学的な違い(ethnicity) と
肌の色などの生物学的な違い(race)の他、
先住民(indegenous people)などが含まれると考えられます。

参考までに、個人の市民的・政治的権利に関する国際人権規約では、
国内のminorities(日本語では少数民族)として
「宗教的、人種的、言語的少数民族」の
権利の尊重を規定しています。

このマイノリティという言葉を考える上で、
3点、抑えておきたいポイントがあります。

1.数が少ない=マイノリティではない。
2.どの地域の視点に立つかによって、該当集団は変わる
3.個人ではなく集団としての尊重が重要である

マイノリティとは、単純に人数の多寡ではありません。
その集団が偏見や差別、社会制度などの構造によって
弱い立場におかれている、不利益を被っているかが基準となります。

たとえば女性は数としては少数ではありませんが
マイノリティに含まれると考えられています。
一部のアフリカやラテンアメリカにおける白人層は
人数は少ないですが、マイノリティとは呼ばれません。

地域によって、社会の構成集団が変わるため、
どの地域の視点で話をするか次第で
「マイノリティ」に含まれる対象は変わってきます。

たとえばカナダの金融機関Scotiabankでは、
女性や障がい者の他に、カナダ国内の数値として、
Visible minoritiesとAboriginal employeesについて開示しています。

scotiabank
Scotiabank CSR Report 2012 p23

Visible minoritiesとは、歴史的に
言語(英語と仏語)や宗教(カトリックとプロテスタント)の
目に見えない違いがあったカナダ独自の概念で、
イヌイットなどの先住民族(Aboriginal people)を除く、
目で見て違いがわかる非コーカサス・非白人を指します。

一方、ブラジル企業のレポートを見てみると、
Citibank Brasilでは、人種の内訳として
白人・黒人(黒色・褐色系)・黄色人種・先住民に分かれており、
マイノリティ・グループでは障がい者と外国人の比率が
開示されています。

citi
Relatorio de Sustentabilidade 2012 p44

また穀物メジャーBungeのレポートでは、
先住民の他にMulatto・ムラート(混血)の人たちの割合が示されています。

bunge
Sustainability Report 2012 Edition Brazil p86

中南米では、先住民・黒人・白人の混血の人の割合が多く、
上記2社ではPardo(混血を主とした褐色系の人々)と
Mulatto(ヨーロッパ系白人とアフリカ系黒人の混血)の情報を開示しています。

少し見ただけでも、地域によってマイノリティが指すものに
違いがあることがわかっていただけたかと思います。

最後のポイントですが、マイノリティを尊重するということは、
マイノリティに属する「個人」の経済的・社会的な地位向上だけでなく、
「集団」としての地位や尊厳の平等化に取り組むことが求められます。

どういうことかというと、
たとえばCSRレポートの中にマイノリティに属する人が写真で1人登場するだけではダメで、
集団に対して取り組んでいることを示すためにも、
数値としての職種に占める人数や割合を示すことが重要になります。

最後に日本に関してですが、
日本では、マイノリティが社会的弱者と同義に近い形で扱われることも多く、
部族やホームレス、ハンセン症などの患者が含まれることもありますが、
これは欧米での使われ方と一致しません。

日本企業がminority groupをどのように扱うか。

G4のガイドラインに沿えば、
まずはジェンダー・年齢層については開示を進める。

その上で、上記で見た企業のように、地域を特定した上で、
minority groupを定義し、取り組みを進め、
情報を開示するということになるかと思います。
(開示にあたっては、グローバル版で出すべき情報か、各国版で出す情報かの判断が入ります)

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