認知症賠償判決から考える 鉄道会社が取組むべき課題

2013 / 9 / 3 | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

crossing
photo by mxmstryo

認知症の男性が電車にはねられ死亡した事故により
発生したJRの遅延に関する賠償金720万円の支払いを
遺族に命じる判決が、名古屋地裁で出ました。

遺族に賠償命令 波紋呼ぶ 認知症男性、電車にはねられJR遅延
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2013082902000171.html

事故は2007年に発生。
介護する80歳の妻がまどろむ間に、
認知症を患った男性が外出し、
最寄りの駅で線路に入り死亡しました。

JR東海側は、遺族が必要な監視を怠ったとして、
遅延による振替輸送などの損害約720万円を遺族に請求。
裁判所は男性の徘徊は予見できたとして、
全額の支払いを遺族に命じました。

遺族側は控訴していますが、この判決に従うと、
被介護者の閉じ込めにつながる可能性もあります。
社会全体で支えていく仕組みが不十分な現在、
介護する家族が全責任を負うことになり、
介護側にとっては非常に大きな負担です。

認知症の患者は全国で約460万人といわれ、
軽度の人も含めるとその数はさらに倍近くになります。
今後、さらに高齢化が進み、
状況はより深刻になっていくでしょう。

そうした社会状況を考えた際、
鉄道会社は列車遅延によるリスクを減らすために、
安全柵の設置などハードの対策とともに、
今回であれば認知症といった人身事故の原因に
アプローチする対策に取り組むことが
求められるのではないでしょうか。

JR各社の最新版のCSRレポートをみてみると、
唯一JR東日本が自殺対策に取り組むNPO支援や
電話相談窓口の開設、相談員による駅巡回など、
自殺防止対策に取り組んでいました。

JR東日本グループ 社会環境報告書2012 p69
http://www.jreast.co.jp/eco/pdf/pdf_2012/all.pdf

認知症については、まだそうした活動はないようです。

自殺や認知症に取り組むことは、
自社にとっても、社会にとってもプラスになり、
鉄道会社にとって重要なテーマの1つです。

自社だけでは解決できない大きな課題ですが、
責任ある企業としての取り組みが期待されます。

このエントリーをはてなブックマークに追加

Sustainability Frontline もっと学びたい方へ

この記事で取り上げたテーマについてより詳しく知りたいという方は下記よりご連絡ください。より詳しい内容理解 / 勉強会でのライトニングトーク / 社内セミナーでの話題提供など、一緒に学びを深める機会を作っていきたいと思います。

お名前
メールアドレス
企業名、団体名
詳しく知りたい内容など

プライバシーポリシーに同意する