市民社会にみる日中の違い

2013 / 4 / 3 | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

「中国の市民社会」

この言葉を聞いて、ピンと来る方がどれくらいいるでしょうか。

日本人が一般的に抱いている中国の印象からは、
「中国に市民社会なんて存在するの?」
と、イメージしにくい方も多いかもしれません。

しかし実際には、
中国の市民社会は力強く成長を続けていて、
社会に様々な影響を及ぼし始めています。

一緒に日中働き方ワークショップを開催したりと
親しくしているCSネットの代表を務める李妍焱(リ・ヤンヤン)さんの著書
中国の市民社会――動き出す草の根NGO (岩波新書)」を読むと、
そんな中国の市民社会の状況がよくわかります。

日本と中国、それぞれの国に
市民社会/NGO・NPOの概念が根付いていったのは、
意外にも同じ時期です。

日本では、阪神大震災があり、
ボランティア元年と言われる1995年。

中国では、同じ年に北京で世界女性会議が開催され、
そこに世界中のNGOが集まったことで、
人々がNGOという概念・団体に直接触れる機会となりました。

その後中国のNGOは、
欧米NGOから資金やノウハウのサポートを得て、
欧米の考え方や手法を導入し、人材交流も盛んに行われています。
若者にとっては、NGOで働くことがキャリアステップになるほど。

組織として社会に存在するために
大きなビジョンは国・政府と共有しながらも、
具体的な方法はそれぞれのミッションに基づいて行い、
制約のある社会システムの中で、市民の参加の仕組みを作り、
影響力の拡大を試みています。

一方の日本は、すでに先進国ということもあり、
欧米のNGOからの直接の支援はあまりなく、
理事会など組織構造は導入されても組織経営の根本に
欧米流のマネジメントはあまり根付いていません。

個別の問題に関しては詳しいけれども、
業界全体や未来についてなど大きな画を描ける人は少ない。
また権力(敵)を相対化しにくく、市民の巻き込みが難しい。
NGO/NPOの認知度は広まったけれども、
市民が主体的に社会に関わっているかというと、
現状はまだまだです。

中国の市民社会の課題は、多様性が確保される制度をどう作っていくか。
日本の市民社会の課題は、人々の日常と公共をどう結びつけていくか。

日本と中国の市民社会の交流はまだ限られています。
政治レベルでは複雑な状況にある今だからこそ、
市民レベルで相互に交流・対話をし、学び合える関係性を作っていく、
その一助に私たちもなれたらと思います。

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