二口芳彗子 インタビュー (その1)

2011 / 8 / 12 | 執筆者:EcoNetworks

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硲:「サステナビリティ」や「言語」をテーマに仕事をされることになった
きっかけや原点についてお話いただけますか?

二口:言語との出会いが先でした。私が生まれた石川県小松市には、
大手建設機械会社の大きな工場があって、小さい頃は、海外から
多くの技術者が研修に来ていました。それで、町には外国の方が
たくさんいらっしゃいました。小学校に入る少し前の頃です。
郵便局で母の手続きが終わるのを待っていると、栗色の巻き毛で青い目の
おじさんがやってきて、ニコニコして何か言いながら頭をなでて
くれました。何を言っているのかもちろん全然わからなかったのですが、
音楽のようなとてもきれいな言葉だな、と思いました。その後、ある日、
テレビでセサミストリートを見て、「この間のおじちゃんがしゃべっていた
言葉だ」と気づき、次第に英語に興味を持つようになりました。
小さいころからぼんやりと、いつか英語を使って仕事ができるように
なるといいなと思っていました。

サステナビリティという言葉に出会ったのは、ジャパン・フォー・
サステナビリティ(JFS)に出会った2001年の頃です。枝廣淳子さんの
メールニュースを読み始めて、1年ほど読んでいくうちに、
成長をわきに置いて、「持続可能」ということに価値を置くのは
すごいことだなと思いました。まだ「脱成長」や「国民総幸福量(GNH)」
といった言葉が生まれる前で、世の中では経済成長が最優先されて
いましたが、以前から何か違うなと感じていました。

そして、「言語」と「サステナビリティ」の2つがつながり、2002年に
JFSの英訳チームにボランティアとして参加するという行動に
つながりました。これが大きな転換期でした。

硲:二口さんが働くうえで一番大切にされていることは何ですか?

二口:「プロである」ということです。私の場合、翻訳の仕事が主で、
翻訳の「プロ」としてお仕事をいただくわけです。その信頼に対して、
100%、あるいはそれ以上に応えていくことを最優先しています。
お客さまに満足いただくことも大切ですが、お客さまにとって
価値のある翻訳とは何か、ということをよく考えます。
縦のものを横にするだけではなく、お客さんが翻訳を通じて
伝えようとしていることがきちんと伝わるように、さまざまな
ご提案をしています。例えば、海外ではあまり知られていない
価値観なので説明を入れた方がいい、あるいは、
直訳ではなく言葉を変えてしまったほうが上手く伝わる、といった
ご提案です。お客さまに時間や手間をかけてしまうので、面倒だと
思われることもあるでしょう。でも、あえてそれをします。最終的に
仕上がった翻訳が、私たちの手を完全に離れてしまってからもそこで
生きるように仕上げるように、と心がけています。ありがたいことに、
このようなやり方に共感し、エコネットワークスに頼んでよかったと
言っていただけることも多いのです。

硲:二口さんにとって、「サステナブルな働き方」とは、ひと言でいうと
どのような働き方ですか? 反対に、「サステナブルではない働き方」とは
どのような働き方でしょうか?

二口: 「サステナブルな働き方」は、ひと言でいうと「楽しいこと」です。
わくわくしながら仕事がしたい、といつも思っています。
何でも楽しいことは続きますよね。仕事もそうで、働くことを「楽しむ」。
仕事で苦労していることも楽しんでしまう。どういう状況でも、
そこに何か楽しみを見つけていく、結局はそこかなと思っています。
困難にぶち当たったときは、乗り越えられない壁は与えられないと
考えるようにしています。くよくよするだけしたら、
「必ずこの問題は解決する」と言い切ります。そうすると、
これまでも解決策が見えてきたり、協力者が現れたりしました。

私にとって「サステナブルではない働き方」とは、自分がすり減っていく
感覚を覚える働き方だと思います。自分の時間や能力をひたすら
消費していく仕事というのは、サステナブルではないとすごく思います。

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