Return to work ~ 病気からの復帰(第4回)

2016 / 10 / 20 | カテゴリー: | 執筆者:二口 芳彗子 Kazuko Futakuchi

nordic walking

Photo by Giorgio Minguzzi

大きなターニングポイントだった土曜日を友人のおかげで乗り切り、
9月中旬には、100ページを超える大型レポートの翻訳がスタート。

1本目のレポートを完成できたことは、確かな自信になっていました。
十分な睡眠と定期的な運動も仕事と同じタスクと考えて、予定に入れてしまい、
その時間は仕事をしないと決めて、その代わりに仕事の時間は集中して
その日の目標の仕事を完了する。

そしてもちろん、私と一緒に翻訳コーディネーターを務めてくれたメンバーや
高いクオリティーの翻訳初稿に仕上げてくれた翻訳メンバーの協力は絶大でした。
スケジュールが遅れ気味でも、全員で力を合わせてクライアントとの納期を守るため、
みんなが自分のその日の目標を設定して共有し、達成することの積み重ねでした。

8月、9月と月120時間前後の労働時間で、退院後の3ヶ月検診も異常なし。
このタイミングで、会社と働き方のレビューをしました。
12月いっぱいまで抑え気味で仕事をする予定でしたが、
10月から月160時間のフルタイムに復帰しました。

     ◇ ◇ ◇

退院して3年半経った今、当時の自分を振り返って気づいたことがあります。
退院直後は、もう「病人」ではない、かといって「元の自分」でもない状態で、
とりあえず目指していたのは「元の自分」でした。
経験しているので、それが1番安心で着実だろうと思っていたようです。

その心の底には、自分の人生から病気をなかったことにしたい思いがあったのだなと。
結局起きてしまった事実は変えられないことはわかっていても、認めたくない。
でも、万全ではない身体が客観的に(ある意味冷酷に)それはできないよ、と言います。

その時に「やりたいこと」と「今の自分にできること」「今の自分ではできないこと」を
整理して、「やりたいことをできるようにする」。
自分でできないことは、メンバーにお願いすることもできます。
できてしまえば結果は同じ、と割り切ると、気持ちが楽になりました。
いえ、 1人でやるよりも仲間でやったほうが楽しいという発見もありました。

冒頭の写真は、ノルディック・ウォーキングの様子です。
私も、退院後半年ぐらいから初めて、今でも週に2回ほど楽しんでいます。
趣味だったランニング(すごく遅かったのですが)はできなくなりましたが、
「それ、どこに売ってるの? どんな感じ?」と見知らぬ方に話しかけられたり、
挨拶を交わす顔なじみもできました。

今は、病気を経験したからこそできること、出会えた人やできごとを大切にして、
「やりたいこと」を一つ一つ実現していきたい、そう思っています。

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